前回過去チャートからフラッグについて分析し、フラッグトレード手法のルール付けまでできているので、今回はこの手法を使って実際に過去データを使った検証をしていきたいと思います。
FXトレードでは出来上がったチャートから見つけたルールだけでは中々思った通りにトレードできないことがあります。
今回はそうならないよう、なるだけ再現性の高いルール付けまで仕上げていくことを目的にしています。
前回のフラッグトレードの分析記事も見てもらえると、より本記事が理解しやすいと思います。
過去検証するフラッグトレード手法と検証設定
トレード手法はチャートパターンのフラッグを使ったフラッグトレード
- 大きなトレンドの途中に出現している。
- チャネルライン(一定間隔)に高値安値の接点がそれぞれ2回以上ある。
- ダウ理論に基づいた高値安値の切り上げ、切り下げがある。
- 大きなトレンドの押し目として50%以上戻している。
- 第一指値決済はフラッグの始まりとなった戻り高値か戻り安値。
- 第二指値決済はフラッグ開始前の戻り安値、戻り高値からフラッグの下線、上線までの価格変動値と同等の値をフラッグを抜けた価格に加えた価格。
- 損切り価格は、フラッグに引いたチャネルラインの半値。
- エントリーはフラッグのチャネルラインを抜けたら。
過去検証する通貨ペアやその他設定
通貨ペア | GBPJPY(ポンド円) |
過去データ期間 | 2019年1月1日~2019年12月31日 |
検証開始日 | 2019年2月1日~ |
インディケーター | なし |
フラッグトレードの過去検証結果
トレード回数 | 11回 |
勝ちトレード | 6回 |
負けトレード | 5回 |
勝率 | 55% |
利益 | 11123.32ドル |
損益 | 3586.43ドル |
純利益 | 7536.89ドル |
勝率は55%とまぁまぁですが、利益が損益の約4倍近くになっているのはすばらしいですね。
リスクリワードがかなりいい証拠です。
過去検証トレードから新たな発見を探す
それでは今回検証した勝ちトレード、負けトレードを見直し、新たなトレードルール見つけることで勝率や利益を伸ばせられないか見直したいと思います。
2019年2月1日の負けトレード見直し
正直悪くないフラッグ判断だったかなと思います。
青丸の一点だけチャネルラインを抜けてはいますが、その後は間違いなく意識されているので、せめて前回高値までは行くかと思いました。
2枚目の画像は4時間足で見たチャートになります。
ダウ理論でも目線は崩れていないのですし、チャネルラインをここまできれいに抜けていれば“だまし”でもないので、これを防げるようなルールは中々決めきれないかなと思います。
まだ正式なトレードルールに含めるかは分かりませんが、一つ気になる点として「フラッグ中に大きく抜き出たローソク足がある」ことです。
1時間足の画像につけた青丸のことですが、これを単なる“だまし”と捉えれば簡単な話ですが、実際エントリー後に意識されたと見える高値でもあります。
つまりは、フラッグを抜けるほどトレンド継続の勢いが出たにも関わらず、青丸の高値を超えさせたくないほど売りが入ったということです!
こう考えると次のようなトレードルールを加えてもいいかも知れません。
- フラッグ内に“だまし”ではなさそうな抜けのローソク足がある場合はトレードしない。
トレードしないにするか、リスクリワードが合うようであれば指値決済を抜けのローソク足の下くらいにするとかでもいいと思います。
因みに、こうやって後から見直して分かることですが、次の画像のような4時間足でチャネルラインを引くのが正解だったかなと思います。
2019年3月6日の負けトレード見直し
これは完全に反省トレードです(;^ω^)
確かにトレードしてると陥りやすいことではありますが、“中々トレード機会がないことで無理やりトレードルールに寄せてしまった”結果負けたというものです。
反省点1はチャネルラインの引き方が間違っている
本来フラッグになっている下降トレンドをダウ理論で見ると赤線の見方になるので、この場合チャネルラインを引くなら接点1を起点にしないと行けないところを接点2に合わせてしまっています。
反省点2は大きなトレンドの捉え方が間違っている
4時間足を見ると分かりますが、本来であれば1つ前のフラッグ(今回偶然前回押し目もフラッグだった)が大きなトレンドでいう押し目になっているので、そこから見なければいけません。
そうした場合、今回間違ってエントリーしたタイミングではフラッグがトレードルールの「大きなトレンドの押し目として50%以上戻している」に当てはまらないため、エントリーする必要がなかったと反省できます。
反省点1と2を考慮した正しいチャートの見方に直したものが次になります。
ちゃんと接点1でチャネルラインを引いていれば、今回エントリーした時点ではまだフラッグを抜けていないのでエントリーすることもなかったことが分かります。
その後に青丸時点からフラッグを完全に下抜けしたことで、今回の負けトレードを防げたことが確定します。
そして、もしこのフラッグが成立してトレンド継続してた場合、決済ポイントを決めるのは大きなトレンドの起点(赤丸地点)から計算することになります。
2019年4月11日の負けトレード見直し
これは1時間足だけで値動きを見ると中々に理想的なフラッグを形成しているのですが、4時間足で見るとこちらもきれいなレンジ相場なことが分かります。
もちろんエントリー前に4時間足も見ているので、このときはレンジ相場も考慮して指値決済を前回高値のチョイ下に設定もしていましたが、、、ダメでした(TдT) ウゥ…
敢えて反省点とするならば、やはり“4時間足でレンジ相場だと分かっているときはフラッグを抜けたとしても勢いが出づらいので様子見する”になるかと思います。
ですが、個人的にはこの負けトレードについては仕方ない範囲かなと思っているので、次回同じようなチャートを形成した場合もエントリーしようと思います。
一応理由としては、“レンジ相場ではあるが、レンジ内でリスクリワード的に問題もなく、指値価格までレンジ相場内に収まっているから”です。
2019年6月20日の負けトレード見直し
こちらの負けトレードも、しっかりチャネルラインに接点があるのでフラッグとして意識されていることが分かりますし、大きなトレンドの下降に対して50%以上戻してもいるのでいい感じです。
4時間足で見ても、若干勢いは緩めですが下降トレンドで間違いないので今回も仕方ない範囲かな、、、
と思いましたが、横の視点から分析してみると面白い結果が見えてきました。
横の視点とは、フラッグを形成したローソク足の本数(どのくらいの時間か)になります。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | |
勝ちトレード | 82本 | 129本 | 240本 | 157本 | 339本 | 107本 |
負けトレード | 115本 | 77本 | 149本 | 52本 | 245本 |
今回の負けトレードは4回目のものになるので、ローソク足は52本でダントツ少ないです。
つまり、フラッグとして接点があるので意識されたであろうことは間違いないと思いますが、52時間くらいの売り買いでできたフラッグを抜けても“そこまでトレンド継続の勢いは出ない”ということです。
トレーダー心理から考えると、一見“押し目がこれだけ短い期間しかなかったということは、それだけトレンドの勢いがある”とも取れますが、あくまでフラッグを形成した押し目のトレード履歴から分析すると、逆で“期間の短いフラッグの押し目はトレンドを継続するだけのパワーを溜めきれていない”ということになります。
これはもう一度別の期間で検証する必要が出てきましたね。
- 勝ちトレード:175.7本
- 負けトレード:127.6本
ついでに、この負けトレードのあとに、このフラッグを含めたもっと大きなフラッグを形成して下降トレンドを継続したので、次のトレードで利益が出るくらい勝ちました。
2019年8月26日の負けトレード見直し
これが今回の過去検証最後の負けトレードになりますが、正直仕方ないトレードかなと思います。
1時間足を見ても接点といい戻り具合といい問題ありません。
4時間足で見ると余計に下降トレンドの勢いもあっていい感じに見えます。
個人的に気になる点を挙げるとすれば、まずフラッグを形成し始めた辺りにあるすごい勢いの陽線のローソク足です。
元々GBPJPY(ポンド円)はボラ(ボラティリティ)が高い通貨ペアではありますが、さすがに1本のローソク足で約180pips動くのは何かしらのファンダメンタルの影響かと思います。
ファンダメンタルの影響でなかったとしてもこれだけ大きな陽線を付けているので、この陽線の高値辺りの価格帯がその後意識されそうなことは予測してもよかったと思います。
因みに後付けですが、陽線の高値に水平ラインを引くとレジサポとして意識されていることが分かりますので、この辺もトレードルールに入れられればもっと精度の高いフラッグトレードができるのではないかと思います。
分析から導き出したフラッグトレード手法の過去検証まとめ
フラッグは出現頻度が他のチャートパターンと比べて少ないです。
分析時は2020年を含めた17ヶ月で13回、今回は2019年の12ヶ月で11回になるので、大体1年でこのくらいの出現頻度なのかなと分かりました。
フラッグトレードについても、勝率が55%でリスクリワードもいいので利益も出ており、十分実用的なトレード手法になると思います。
今回の過去検証から次の気になる点が見つかったので、今後はこれも含めて精度も上げられると思います。
- トレード機会が少ない場合、無理に自分のトレードルールに当てはめようとしてしまうことがある。
- チャネルラインの引き方に注意が必要。
- 大きなトレンドの捉え方を間違えがち。
- 大きな足でレンジ相場の場合、エントリー判断が難しい。
- 期間の短いフラッグの押し目はトレンド継続するだけのパワーを溜めきれていない場合がある。
- ずば抜けた勢いのローソク足がある場合、その上値下値がその後意識される傾向にある。
こう見ると、やはり出来上がっているチャートから分析するだけでは見えづらいことが多々あることが分かります。
上記の注意点をフラッグトレード手法に組み込むかの判断も含め、今度は別の期間(2018年とか)でも過去検証して決めたいと思います。
そちらの過去検証記録も記事にできればこちらにリンクを追加しますので、よければ参考にしてもらえると嬉しいです。