今回はずっと気にはなっていたけどネットで調べても正解が分からなかった“最も有効な移動平均線の設定値”について過去データを使って検証しようと思います。
おそらくFXや株のトレードをしてて移動平均線を表示させている人なら一度はネットや書籍で調べたりしたことがある内容ではないでしょうか。
また、もしまだ移動平均線をトレードに使っていない人や、表示はしているけど移動平均線自体についてはあまり知らないってよって人は、私も簡単にまとめていますので先にそちらを見てもらえると理解しやすいかと思います。
それでは本題に進みましょう。
有名な移動平均線の設定値について
まず私のよく目にする移動平均線の各設定値と、なぜその設定値が有名なのかについておさらいしたいと思います。
移動平均線の設定値 | 理由 |
5 | 5日移動平均線と言われることがあり、これは一週間の間でFXの取引ができる日数が平日の5日であることが理由になります。 |
10 | 上記の5日が有効な設定値であればその倍も有効であると考えられるためです。他にも5の倍数が理由で設定されているものがあります。 |
14 | 先程FXの取引は平日の5日と言いましたが、実際の為替自体は365日行われている(FX以外でも)ため、土日分も含めた7日の倍ということから有名になった設定値です。 |
20,21 | この二つの数値はどちらでもいいかなと思います。まず20の数値は一ヶ月の平日の日数が理由です。そして21の方は一ヶ月が31日の場合を考慮したということと、フィボナッチ数列にも含まれている数値になることが理由になります。 |
25 | 株などを中期で取引をする人の間で有名な数値になるので、そのままFX界隈でも設定されていることが理由になります。 |
50 | この数値はよく目にすることがあるのですが、明確な理由は不明です。ただ5日移動平均線が有名なためその10倍の数値であったり、この後説明する200日移動平均線が有名なのでその1/4の数値だからだと思います。 |
75 | 株の世界では短期だと5日移動平均線、中期だと25日、75日移動平均線が有名なため、そのままFX界隈でも使われていることが理由になります。 |
100 | 5の倍数であったり、長期の取引をする場合の目安に丁度いいためです。 |
200 | 200日移動平均線と聞くと聞き覚えがあったりしないでしょうか?恐らく移動平均線の設定値では最も有名で株の世界でも長期トレーダーは使っていると言われていますし、グランビルの法則も200日移動平均線をベースに考えられたと言われています。 |
移動平均線のデータ分析について
通貨 | GBPJPY(ポンド円) |
時間足 | 1時間足 |
移動平均線へのタッチ回数 | 100回 |
移動平均線は普通に使っていると各時間足ごとの平均線となるため、例えばグランビルの法則などでも有名な200日移動平均線もあくまで日足をベースに使うことが前提となっていたりします。
そのため有名な移動平均線の数値が5であったり200であっても、その設定値が“自分のトレードしている時間足でも有効かと言うとそうではない”ということです。
そこで今回は移動平均線での反発の有力性を計測する主軸の時間足を1時間足にしたいと思います。
理由は最も見ている人が多い時間足だろうと思うからです。
スキャルピングトレードをしている人なら環境認識で上位足として見るでしょうし、デイトレードをしている人なら主軸の時間足になると思います。
逆にスイングや長期トレーダーの人からすれば1時間足くらいでエントリータイミングを見ていると思うからです。
通貨に関しては特に深い理由はなく、私が普段から主にトレード、過去検証している通貨というだけなので、逆にこの通貨も調べてほしいという場合はお問合せからご連絡ください。
移動平均線へのタッチ回数について始めは期間で区切ろうかとも思ったのですが、そうすると設定値が大きくなるにつれて母数となるタッチ回数が減るため“確率を算出する”という意味では適切でないと思い、反発率を出すには一律のタッチ回数から算出するのが適切だと思ったからです。
回数の100回は多すぎず少なすぎず、母数がこれだけあればそこから算出する反発率の信憑性も充分だと判断したためになります。
移動平均線の設定値はいくつが最も有効か分析
これから上記で説明した有名な移動平均線の設定値について過去チャートを元に分析していきたいと思いますが、先にどういった値動きなら移動平均線での反発と判断するかの条件をまとめたいと思います。
- 移動平均線の傾きと逆の方向でローソク足が確定していない(ヒゲならOK)。
- 移動平均線に触れる15pips以内での反発。
- 反発後に移動平均線の傾きと同じ方向に進んでいる。
- 反発後に前回高値、安値を更新していること。
上記を移動平均線での反発と見なしこれから分析していきたいと思いますが、少し文字だけだと分かりづらいと思いますので、ここで反発っぽいけど今回の条件には当てはまらないチャート画像を何個か載せようと思います。
反発と見なさない例1は、完全に1時間足のローソク足が5本も移動平均線の傾きと逆の方向に抜けきっているので反発とは判断しません。
例2は反発後に前回安値を更新できていません。
例3は場合によっては反発と判断しても良さそうな値動きではありますが、一応今回は「移動平均線の傾きと逆の方向でローソク足が確定していない」の条件に当てはまってしまうのでカウントしません。
このような感じで移動平均線に触れた回数を母数とし、その中で反発した回数をカウントして各設定値の反発確率を出していきたいと思います。
移動平均線の5、10、14の設定値は乖離がなさすぎる
それぞれの設定値を分析しようと思いましたが、チャート画像を見てもらうと分かる通り“ローソク足からほとんど乖離がありません”。
これだけ乖離がないのであればわざわざチャートがごちゃごちゃになるのに移動平均線を表示する意味がないため、今回のデータ分析からは外そうと思います。
もしこの設定値で移動平均線を使うのであれば、反発などではなく勢いを確認する用途がいいと思います。
1時間足の時間軸で移動平均線(SMA)の設定値20の値動きはどうなっているか分析
移動平均線の設定値20の分析結果は次のようになりました。
移動平均線に触れた回数 | 100回 |
100回タッチするまでにかかった期間 | 84日 |
移動平均線で反発した回数 | 19回 |
反発した確率 | 19% |
いかがでしょうか?
一応全体が分かるよう4時間足でのチャート画像が次になります。
赤丸と赤テキストが移動平均線に触れたと判断した箇所と回数になり、青丸とテキストが反発と判断した箇所と回数になります。
やっと少しだけ乖離し始めた感じなのでまだ反発を見ると言うよりは、傾向を見るための設定値という印象を持ちましたが、それでも反発率19%はまぁまぁではないでしょうか!
最後に全体ではありませんが1時間足でのチャート画像を載せたいと思います。
1時間足の時間軸で移動平均線(SMA)の設定値25の値動きはどうなっているか分析
移動平均線の設定値25の分析結果は次のようになりました。
移動平均線に触れた回数 | 100回 |
100回タッチするまでにかかった期間 | 102日 |
移動平均線で反発した回数 | 16回 |
反発した確率 | 16% |
次のチャート画像は全体が分かるよう4時間足にしたものになります。
赤丸と赤テキストが移動平均線に触れたと判断した箇所と回数になり、青丸とテキストが反発と判断した箇所と回数になります。
移動平均線の設定値が多少増えたことで当たり前ですが期間は伸びましたね。
反発確率は若干下がりましたが移動平均線からの乖離という点では分かりやすくなったので、反発狙いで移動平均線を使うならこの辺の設定値からになるんじゃないかと個人的には思います。
また今回の反発ルールではカウント対象にはなりませんが、一応次のような値動きは実際のトレードでは使えたりもするんじゃないでしょうか。
※因みにこの例は反発条件の「移動平均線の逆方向で確定している」、「移動平均線より15pips以内での反発」に触れていたためカウントしていません。
では設定値25でも全体ではありませんが1時間足でのチャート画像を載せたいと思います。
1時間足の時間軸で移動平均線(SMA)の設定値50の値動きはどうなっているか分析
移動平均線の設定値50の分析結果は次のようになりました。
移動平均線に触れた回数 | 100回 |
100回タッチするまでにかかった期間 | 136日 |
移動平均線で反発した回数 | 11回 |
反発した確率 | 11% |
次のチャート画像は全体が分かるよう4時間足にしたものになります。
赤丸と赤テキストが移動平均線に触れたと判断した箇所と回数になり、青丸とテキストが反発と判断した箇所と回数になります。
設定値が大きくなり期間が結構掛かるようになってきました。
個人的には乖離が分かりやすくなるだけ反発確率は上がると思ってたんですが、そうではないみたいです^^
では設定値50でも1時間足の一部のチャート画像を載せたいと思います。
1時間足の時間軸で移動平均線(SMA)の設定値75の値動きはどうなっているか分析
移動平均線の設定値75の分析結果は次のようになりました。
移動平均線に触れた回数 | 100回 |
100回タッチするまでにかかった期間 | 158日 |
移動平均線で反発した回数 | 17回 |
反発した確率 | 17% |
次のチャート画像は全体が分かるよう4時間足にしたものになります。
赤丸と赤テキストが移動平均線に触れたと判断した箇所と回数になり、青丸とテキストが反発と判断した箇所と回数になります。
ここに来て移動平均線との乖離もあって分かりやすい上に、反発率は設定値20と25の間くらいまで上がってきました。
これまでは設定値が大きくなるに連れて反発率は下がるという逆相関の分析結果でしたが、実際に使うことを考慮するとこれくらいの設定値が分かりやすく意識されてもいていいのかも知れません。
それでは設定値75でも1時間足の一部チャート画像を載せたいと思います。
1時間足の時間軸で移動平均線(SMA)の設定値100の値動きはどうなっているか分析
移動平均線の設定値100の分析結果は次のようになりました。
移動平均線に触れた回数 | 100回 |
100回タッチするまでにかかった期間 | 219日 |
移動平均線で反発した回数 | 18回 |
反発した確率 | 18% |
次のチャート画像は全体が分かるよう4時間足にしたものになります。
赤丸と赤テキストが移動平均線に触れたと判断した箇所と回数になり、青丸とテキストが反発と判断した箇所と回数になります。
いかがでしょうか。
設定値100だと乖離も十分で反発率も設定値20とほぼ同じ水準になりました。
乖離が開くということは勢いが分かりやすくなるだけでなく、意識されているのかも判断しやすくなります。
逆にいうと乖離が開くことによって意識されやすくなるとも取れます。
またローソク足と移動平均線の乖離が狭い状態が続くと常に見ておかなければならないことにもなるので、スキャルピングとかならいいかもしれませんがデイトレードくらいになるともう忙しくなると思います。
それでは設定値100の1時間足チャートを載せたいと思います。
1時間足の時間軸で移動平均線(SMA)の設定値200の値動きはどうなっているか分析
移動平均線の設定値200の分析結果は次のようになりました。
移動平均線に触れた回数 | 100回 |
100回タッチするまでにかかった期間 | 315日 |
移動平均線で反発した回数 | 19回 |
反発した確率 | 19% |
次のチャート画像は全体が分かるよう4時間足にしたものになります。
赤丸と赤テキストが移動平均線に触れたと判断した箇所と回数になり、青丸とテキストが反発と判断した箇所と回数になります。
さすが長期トレーダーの人がよく使っていると言われる設定値だけあって315日とほぼ一年の期間がかかりました。
※ 実際は検証ソフトなので数分ですが^^
反発率も上がり20SMAと同じ19%とすばらしい結果でした。
それでは設定値200の1時間足チャートを載せたいと思います。
FXで有名な移動平均線の設定値をすべて検証した結果まとめ
今回は一般的に目にする移動平均線の設定値をすべて分析し、どの設定値が最も効果的に働くか、つまりは意識され反発するのかを調べました。
移動平均線の設定値 | タッチ回数 | 反発数 | 反発率 | 期間 |
20 | 100回 | 19回 | 19% | 84日 |
25 | 100回 | 16回 | 16% | 102日 |
50 | 100回 | 11回 | 11% | 136日 |
75 | 100回 | 17回 | 17% | 158日 |
100 | 100回 | 18回 | 18% | 219日 |
200 | 100回 | 19回 | 19% | 315日 |
まとめると、最も移動平均線で値動きが反発(つまりは意識されているであろう)する設定値は 20 と 200 でした。
私は普段から移動平均線を20EMA、50SMA、100SMAと3本表示していましたが、今回の検証を機に20EMAと100SMAの2本にしようと思います。
反発率から見ると200SMAの方がいいのですが、私のトレードは主にデイトレになるので100SMAくらいの頻度がちょうどいいと思ったからです。
ただ移動平均線の使い方は人それぞれなので、私のように抵抗や反発を狙う人もいれば、単にその時の相場の勢いや傾向を移動平均線から見る人もいるので、あくまで今回分析から分かったことは、“1時間足に表示する移動平均線で最も反発する設定値”だということです。
この他にも私が移動平均線を使ったトレード手法の過去検証から勝率を出している記事や、ゴールデンクロス、デッドクロスの過去検証記事もありますので、よければ参考にしてみてください。
では最後になりますが、実際にあった値動きをこれほど古い期間まで遡って分析から過去検証できる検証ソフトは本当に便利なので、ぜひ皆さんも利用してみたらいかがでしょうか。
便利なFX検証ソフトでもっとも有名なForexTester、さらにForexTesterを最安値で購入し使う方法までを別記事にもまとめています。
よければ参考にしてみてください。