FXトレードにテクニカル分析を使っている人なら必ず引いている線の一つがトレンドラインだと思います。
FX系の情報商材やYoutube、ブログ記事でも「正しいトレンドラインの引き方」とか「稼げるトレンドラインの引き方とは?」みたいな紹介をよく見ます。
ただトレンドラインは見ている時間足によっていくらでも出現しているので、今回は“トレード手法にも取り入れられるレベルのトレンドラインは引けるのか!”というところまでを分析していきたいと思います。
記事の目次
分析の前にトレンドラインの定義を明確にする
一言でトレンドラインと言っても見ている時間足や人によって捉え方が違うので、ここでは私がトレンドライン引く時間足、トレンドラインと捉える定義をより明確にしたいと思います。
今回トレンドラインを引く時間足は4時間足
理由は4時間足以降のトレンドラインを見ている人が多いと思うからです。
トレンドラインとは言葉の通り“トレンドに対して引くライン”になるので、トレンドがコロコロ転換するような時間足で使うのは効率が悪いです。
しかも“トレンドラインの用途はトレンドの継続を期待する”ものになるので、狙っていくpips数も大きくなりますし、当然エントリーから決済までの期間も長くなるためデイトレやスウィングトレーダーが対象になります。
スウィングトレーダーでメインの時間足を1時間足で見ている人はあまりいません。
ただし、これは30分足や1時間足にトレンドラインを引くことを否定しているわけではありませんし、あくまで今回のトレンドラインの検証に使う時間足の話になるのでご理解ください。
今回分析に使うトレンドラインを定義する
これはみなさんも知っていると思いますが、トレンドラインとはダウ理論を基準にした押し目を繋いだラインのことを指します。
そして、トレンドラインはトレンドが続いている間は複数引いても構わないというルールもあります。
ただし、複数のトレンドラインを引く場合でもあくまでトレンドの起点は一つなので、トレンドの起点から引くというルールになっています。
今回の分析には使わないが私が引くもう一つのトレンドライン
今回は一般的なトレンドラインを対象に分析、このあと過去検証を行う予定ではありますが、豆知識的な感じで私が引いている“もう一つのトレンドライン”も紹介したいと思います。
もう一つのトレンドラインとは「トレンドの起点を無視」しても構わない、ダウ理論のトレンド継続条件「高値更新、安値更新」を満たしていればトレンドラインを引くいうものになります。
図を見てもらうと分かりやすいと思いますが、トレンドの起点ではなく、起点のあとに作られた押し目から再度トレンドが継続したことを確認した次の押し目へとラインを引くというものです。
これも結構効く場合があるので参考程度に気にしてもらってもいいと思います。
- ダウ理論のトレンド条件(高値更新、安値更新)を満たしている。
- トレンドの起点から各押し目に対してトレンドラインを引く。
トレンドラインは本当に意識されるのか徹底分析
みなさんもトレンドラインを引いたことがあると思うので分かると思いますが、いくら正しいルールに沿ってトレンドラインを引いていても毎回意識されるわけではないですし、かと言ってトレンドラインを逆にブレイクしたからトレンド転換するかと言えばそうでもありません。
ということで、まずは過去データにトレンドラインを引いてみて“実際にどれくらい意識されているのか”、“意識されるトレンドラインとそうでないトレンドラインの違い”などを見つけていければと思います。
今回分析する通貨ペアや時間足などは下記になります。
分析した通貨ペアや期間まとめ | |
通貨ペア | GBPJPY(ポンド円) |
分析期間 | 2020年1月2日~2020年12月31日 |
時間足 | 4時間足 |
2020年1月2日~2020年12月31日に引いたトレンドライン
まず全部のトレンドラインが見えるように日足で見た画像と、4時間足で何枚かに分けた画像が次になります。
黒い縦線の間が分析期間の始まりと終わりになり、青線が私が4時間足で見ているダウ理論の高値安値になります。
青①の押し目は、その後高値を更新できずトレンドが継続していないので上昇トレンドの押し目とはせず、その後安値更新したため下降トレンドの押し目としました。
青②に関しては、値幅だけみると4時間足レベルの押し目と判断してもいいのですが、横軸(期間)が短すぎるため押し目とは判断しませんでした。
次の4時間足の青丸について、この下降トレンドでは青丸の押し目のあと安値を更新できていないため、押し目と判断していません。
ただその前の赤丸の押し目に引いたトレンドラインにきれいに反発しているため、トレンドラインを引いたように見えているだけになります。
最後の上昇トレンドでは、青丸の押し目で一旦前回の押し目を下回っていることからトレンドが崩れましたが、再度高値を更新しているため押し目と判断しました。
過去のトレンドラインから見える法則性を探す
2020年に出現した4時間足レベルのトレンド発生回数 | |
上昇トレンド | 6回 |
下降トレンド | 5回 |
トレンド合計 | 11回 |
次に各トレンドでの押し目の数になります。
“押し目数=トレンドラインの本数”になるため重要なポイントです。
因みにライン17とライン18の間は押し目なく下降してるためノーカウントにしています。
トレンド方向と押し目の数 | |
上昇トレンド1 | 押し目2回 |
下降トレンド1 | 押し目2回 |
上昇トレンド2 | 押し目2回 |
下降トレンド2 | 押し目1回 |
上昇トレンド3 | 押し目2回 |
下降トレンド3 | 押し目2回 |
上昇トレンド4 | 押し目1回 |
下降トレンド4 | 押し目1回 |
上昇トレンド5 | 押し目4回 |
上昇トレンド6 | 押し目3回 |
押し目の回数としては2回が一番多く、次に勢いのある1回のトレンドが多いです。
また全体的に押し目が2回が多く、中でも上昇トレンドでの2回が多いことからエリオット波動の2波目、4波目とも考えられるので5波で終了してるトレンドが多いと見えます。
トレンドラインのレジサポの役割、転換を確認
下降トレンドラインがレジスタンスからサポートラインに転換
これは下降トレンドに引いたライン3のトレンドラインになりますが、赤①の高値が前回高値を超えたことで下目線が崩れたことになります。
下目線は一旦崩れましたが、それでも下降トレンドラインがレジスタンスとして意識されたことが分かります。
赤②でも軽く意識されつつ上抜けしていますが、その後は赤③でレジサポの役目が転換しサポートとして意識されたことが分かります。
そして赤④でも軽く意識はされましたが、結果一気に下抜けされています。
ただし、ここも“軽くもみ合った結果一気に下抜けされた”という事実から、やはり“サポートとして意識されていた”ことが確認できます。
下降トレンドラインが上昇トレンドを超えてサポートやレジスタンスに転換
次はライン4のトレンドラインになります。
全体をスクショしたかったので少し分かりづらいですが、1時間足で見ると赤①で何回か意識されたことが分かります。
ただ赤①の中でも一度上抜けしていますし、その後赤②では完全に上ブレイクされてトレンドライン4を形成するのですが、ここからの意識され具合がすごいです。
赤②で完全にブレイクはしましたが、その後徐々に下降してきた結果、再度トレンドライン4まで戻ってきます。
そこからは赤③、赤④とレジスタンスとして意識され、その後も赤⑤、赤⑥とサポートに転換して意識されている事が分かります。
ライントレードの基本でもあるトレンドラインはトレード手法には使えない?
トレンドラインをトレード手法に取り入れるとしても、一般的なトレンドラインだけでは難しいと思います。
トレンドラインは冒頭でも説明しましたが、“押し目をつけてトレンドが継続して初めて引けるライン”がトレンドラインになります。
つまりダウ理論を元にして引いたラインでも、それが“トレンドを継続する前に引いたラインはトレンドラインではない”ということです。
ですが今回分析して分かりましたが、トレンドが継続したことを確認して引くトレンドラインだけではあまりにも意識されないことが多すぎてトレード手法に使えません。
一見するといくつかトレンドラインが意識されて反発している値動きもありますが、これは出来上がったチャートを見てるからそう見えるのであって、実際に値動きしているチャートで使うにはトレードルールを決めきれないです。
それでもテクニカル分析でトレンドラインを引く意味は大きい
先程トレンドラインはトレード手法には使えないと書きましたが、では今回の分析やテクニカル分析にトレンドラインは必要ないかというと、そうではありません。
今回の分析で“トレンドライン単体でトレードするには根拠が弱すぎる”と結論付けましたが、トレンドラインを世の中の多くの人が引いていることも事実です。
それはTwitterやブログなどFXトレード情報を発信している媒体で検索してみれば一目瞭然です。
なので“トレード手法の根拠の一つにトレンドラインも活用する”のがベストだと思います。
他のもっと大きな時間足の水平ラインと組み合わせたり、フィボナッチリトレースメントの数値なども活用して、他の根拠とトレンドラインが重なった場合にトレードするようなトレード手法です。
多く出現するトレンドラインの本数が分かったのも分析してよかった
各トレンド中にできる“押し目の数=トレンドラインの数”で2回という値動きが多かったのは、まさにエリオット波動の上昇5波とも合いますし、これだけでトレンドライン+エリオット波動の第◯波という二つの根拠になると思います。
エリオット波動は上昇5波・下降3波と言われていますので、ひょっとすると押し目が2回だった上昇トレンドのあとの下降トレンドでは押し目が1回と想定してトレードするのもいいと思います。
それでは今回のトレンドラインの分析記事はこれで終わろうと思いますが、今後もトレンドラインにプラスして活用しやすい水平ラインなども分析、検証していきたいと思います。
意識された事実のあるトレンドラインは長くレジサポとして意識される
「トレンドラインのレジサポの役割、転換を確認」を見てもらえると分かりますが、過去のトレンド中に“何度も意識された事実のあるトレンドライン”は、レジサポ転換としての役割もそうですが、それ以外でも“長い期間で意識され続けることもある”ということが分かりました。
これは短期だけでなく中期、長期でトレードする際には大きな優位性になるので改めて分析してよかったと思います。
テクニカル分析で定番のトレンドラインを分析してみて
今回の分析ではトレンドライン単体でトレードするのは難しい見方になりましたが、逆にこの分析結果のおかげで“損失を防げるようになった”とも考えれるので良かったんではないでしょうか。
トレード手法に落とし込むところまでは行けませんでしたが、トレードに使えそうなヒントやトレンドラインの傾向なども見えたのが大きかったです。
他にも気づいた点などあったら追記していくのでよければ参考にしてください。
トレンドラインと似たラインにチャネルラインがあり、このチャネルラインを使ったフラッグトレードは過去検証まで記事にしています。
よければ参考にしてみてください。