今回はFXトレードのテクニカル分析でも使われているチャートパターンの一つである「フラッグ」について分析したいと思います。
分析内容としては、出現数やフラッグの後の値動きについてを基本に、最終的には再現性のあるトレード手法に入れられるようなトレード、エントリー、決済ルールまで絞り込めれればと思っています。
記事の目次
フラッグを簡単に説明
チャートパターンのフラッグは、トレンドが続く中で短期間に発生する一時的な休息のシグナルの一つです。
上昇フラッグと下降フラッグがあり、それぞれ一定の値幅で上げ下げしているチャートになりますので、チャネルラインを引くことで認識しやすくなります。
レンジ相場の斜めバージョンみたいな感じです。
また、フラッグは“大きなトレンドの押し目として出たチャートパターンの事を指す”ので、トレンド中に出た押し目のあと、トレンドが継続することで成立します。
そのため、例えば上昇トレンド中に一定幅で価格が下げてきてそのまま下降トレンドになってしまえば、それはフラッグではなくただのトレンド転換だったことになります。
と言うわけで、フラッグが成立する条件をまとめると次になります。
- 上昇、下降のどちらかにトレンドが発生している。
- トレンドの向きに反して一定の間隔で値動きする。
- 一定の値幅を抜けてトレンドが継続される必要がある。
今回の分析でフラッグと認識するためのルール
あくまで一般的に言われているフラッグとは上記になりますが、トレードを行なっているのは一人ひとりの個人です。
そのため全員が確実に同じものをフラッグと認識するかと言うと、そうではありません。
それにこれはフラッグに限ったことではありませんが、チャートパターンには“だまし”と言われる値動きがあります。
フラッグで言うと、最後にチャネルラインを抜けてトレンド継続したかと思っても、抜け切らずに戻ってきたり一定間隔を一瞬はみ出したりすることです。
これらの値動きだけを見るとフラッグは成立したことにならないのでスルーしそうですが、私たちは“綺麗なフラッグを見つけたい”わけではありません。
“多くの人がフラッグとして意識しているチャートパターンを知りたい”のです。
なので、まずは次くらいのルールに当てはまるものをフラッグとして分析していこうと思います。
- 大きなトレンドの途中に出現している。
- チャネルライン(一定間隔)に高値安値の接点がそれぞれ2回以上ある。
このルールであればチャネルラインも引けますし、例えばだましで一本だけローソク足がチャネルラインから出てるとかも含まれます。
過去チャートからフラッグを分析
それでは過去のチャートから上記に当てはまるフラッグを探していきたいと思います。
2019年8月19日〜2021年2月1日の約17ヶ月で13回
よく“フラッグは他のチャートパターンと比べてそこまで出ない”と言われていますが、結構あるなと言う印象です。
ただ今回の13回のフラッグを見てもらったりチャートをご自分で見てもらうと分かると思いますが、結構見た人次第なところがあって、先程のルールに沿ってはいても「それもフラッグなの?」といったものもあると思いますし、当たり前ですが見る時間足によっても変わってきます。
因みに今回はGBPJPY(ポンド円)の1時間足で見ています。
ちゃんと再現できるレベルまでルールを明確にする
ここまでは敢えて緩めのルールで多くのフラッグを対象に見つけましたが、では同じ期間のチャートを見て全く同じ箇所にチャネルラインを引けるかと言われると少し不安が残ります。
この“再現できるか不安”が大きな問題で、極端にはなりますが“トレード手法はいつ誰がやっても同じ結果になるのがベスト”です。
でなければ、この後に過去検証から出す“このトレード手法による勝率も再現できないものとなる”からです。
というわけでもう少し再現性のあるフラッグ認識ルールが次になります。
- 大きなトレンドの途中に出現している。
- チャネルライン(一定間隔)に高値安値の接点がそれぞれ2回以上ある。
- (追加)ダウ理論に基づいた高値安値の切り上げ、切り下げがある。
- (追加)大きなトレンドの押し目として50%以上戻している。
最後に追加した「大きなトレンドの押し目として50%以上戻している」が結構大事かなと思います。
先程も説明しましたがチャートパターンやダウ理論にしろ見る人の感覚で大きく変わってくるので、できるだけ具体的なルールにしないと再現性のないものになってしまうからです。
それでは先程の13回のフラッグに新ルールを適用させてみましょう。
新ルールを適用すると①、②、⑫、⑬が不成立となりました。
⑩、⑪などは中々にチャネルラインを抜けてたりして際どいところはありますが、一応今回は成立とします。
指値決済、逆指値決済ルールを見つける
つまり決済価格と損切り価格を決めるためのルールを見つけるということです。
今回のようにフラッグなどライントレードの場合、移動平均線と違ってチャートと共に動くものではないのでエントリー段階で決済価格と損切り価格を設定できます。
それではフラッグを再度分析して決済ルールを決めたいと思いますが、まず一般的にフラッグを使ったトレードで言われる決済ポイントを紹介します。
フラッグトレードで有名な決済ポイント1
フラッグの始まりとなった戻り高値か戻り安値。
画像の例は上昇フラッグになるので、この場合だと戻り高値になります。
フラッグトレードで有名な決済ポイント2
フラッグ開始前の戻り安値、戻り高値からフラッグの下線、上線までの価格変動値と同等の値をフラッグを抜けた価格に加えた価格。
画像の例では、大きなトレンドの戻り安値からフラッグの下線までと同等分をフラッグを抜けた価格に足した価格になります。
それでは実際に過去チャートの値動きを分析してみます。
フラッグトレードの決済ポイントを過去データから分析した結果
決済ポイント1 | ここまでにフラッグとして有効だったものすべてで達成していたので、達成率100%です。 |
決済ポイント2 | 有効と判断したフラッグの画像を見てもらうと分かりますが2つだけ達成できていなかったので、達成率は80%です。 |
どうでしょうか。
さすがフラッグトレード定番の決済ルールだけありますね。
フラッグトレードの損切りルールを決める
損切り価格の決め方は一般的にも色々あるようで、フラッグを抜けた価格から見た戻り高値や安値、他にはフラッグを抜けた後レジサポになるであろうフラッグの上線、下線などです。
ただ今回分析しているフラッグを見る限り、チャネルラインを抜けたあとにチャネルラインの半値まで戻してきているものがないので、取り敢えずの損切りルールとしては次で問題ないと思います。
エントリー判断とルールを決める
それでは最後にエントリールールを決めたいと思います。
正直ここが一番大変になります。
これまでは“フラッグとして確定しているチャートだけを分析すればよかった”んですが、エントリールールになると“だまし”もあるため、フラッグを抜け切らなかったチャートまで分析対象にしなければなりません。
エントリールール決めの分析結果
分析結果から発表すると“フラッグのチャネルラインを抜けたタイミングでエントリー”して問題ありませんでした。
例えば次の画像を見てください。
実際にトレードをしてると仮定してフラッグのチャネルラインを抜けた所から青線にしています。
この時は一度チャネルラインを抜けたあと再度戻してきていますが、先程決めた損切りルールだと「チャネルラインの半値」に設定しているはずなのでギリギリですが損切りされずに上昇していっています。
次にもう一つの例を見てください。
こちらは今回のフラッグと認識するルールにある「大きなトレンドの押し目として50%以上戻している。」を達成していないので対象ではなかったんですが、一応分析しました。
もしこれをフラッグと認識してトレードした場合は①でエントリーすると思いますが、意図していなかったところで「大きなトレンドの押し目として50%以上戻している。」のルールが効いており今回の対象ではありません。
次に、その後に50%以上戻してきていますが、今度は②でチャネルラインを大きなトレンド方向と逆に抜けてしまっているので、こちらも今回のトレードルールには当てはまらないのでエントリーは当然しません。
最後にこれを無理やりフラッグとしてトレードするのであれば③でエントリーすることになりますが、もし③でエントリーしたとすればそのままトレンド継続しているので損切りされることはありません。
エントリールールまとめ
ここまでの分析から今回のフラッグを使ったトレード手法のエントリールールが決まりました。
フラッグがトレード手法に使えるか分析した結果まとめ
結構長くなってしまいましたが過去17ヶ月のGBPJPY(ポンド円)のチャート分析からフラッグトレードのルールを見つけることができました。
決済ルールを見てもらうと分かりますがこのフラッグルールに当てはまったとしたら決済ルール1なら100%、決済ルール2まで狙っても80%の確率で利益が出せる結果となりました。
ただ、この手法のポイントは“いかに動いているチャートから今回のトレードルールに沿ったフラッグを見つけられるか”になると思います。
エントリールールも決めてはいますが中々“だまし”に引っかからずにトレードするのは難しいのも現実です。
今後このトレード手法を使った過去検証も行い、その検証結果も含め別記事にしたいと思いますので、よければまた見に来てもらえると嬉しいです。
- 大きなトレンドの途中に出現している。
- チャネルライン(一定間隔)に高値安値の接点がそれぞれ2回以上ある。
- ダウ理論に基づいた高値安値の切り上げ、切り下げがある。
- 大きなトレンドの押し目として50%以上戻している。
- 第一指値決済はフラッグの始まりとなった戻り高値か戻り安値。
- 第二指値決済はフラッグ開始前の戻り安値、戻り高値からフラッグの下線、上線までの価格変動値と同等の値をフラッグを抜けた価格に加えた価格。
- 損切り価格は、フラッグに引いたチャネルラインの半値。
- エントリーはフラッグのチャネルラインを抜けたら。